動物保護シェルターAWLQにて仕事をはじめ、1年ちょいが過ぎました。
その間にたくさんの喜怒哀楽がありましたが、AWLQで働けて、良かったなと思っています。
昨年末から、「Panleukopenia-パンルコピニア」いわゆる猫パルボウイルス感染症 (FPV) に感染した猫たちが多く収容され、予防接種を受けていない野良猫たちの中には、治療介護もむなしく、命を落としてしまう子たちもいました。
この猫パルボウイルス感染症 (FPV) は、医学用語で「汎白血球減少症」を意味します。
猫パルボウイルス感染症 (FPV) は、白血球が著しく減少する病気で、特に幼猫にとっては命を落とすことがほとんどです。
猫パルボウイルスについて学ぶ
猫パルボウイルスとは?
猫パルボウイルスは、猫に感染する非常に強力なウイルスで、「猫汎白血球減少症(Feline Panleukopenia)」とも呼ばれます。
このウイルスは、白血球を破壊、免疫力を著しく低下させます。
特に免疫が未熟な子猫では命に関わることが多いです。
猫パルボウイルスの典型的な症状は?
最初に見られる症状は、嘔吐、下痢がほとんどで、食欲をなくし、元気がなくなる様子が見られます。
- 元気がなく暗い様子
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 脱水
- 体重減少
感染経路は?
猫パルボは非常に感染力が強く、感染経路にはいかが考えられます。
- 猫パルボウイルスに感染した猫の排泄物(体液、便・尿・唾液)との接触
- 猫パルボウイルスが付着したケージ、食器類、猫トイレを共有する
- 猫パルボウイルスが付着した人の手、服などから間接感染する
- 動物保護施設、動物病院などで拡散
※猫パルボウイルスは非常に安定したウイルスで、室内環境では3年間、室温以下でも1年以上、30度いじょうでも数か月以上感染力維持し、長期生存する恐ろしいウイルスです。
診断するには?
獣医師によって、ウイルス検査キット(抗原検査)、血液検査(白血球の減少が著しい)にて行われます。
私が働いているAWLQでは、検便によって、だいたい10分程度で結果が出ます。
治療方法は?
猫パルボウイルスには残念ながら、特効薬は存在しません。
治療は対症療法が中心となり、様子を見ながらとなります。
AWLQにおいての私たちの対応は、消化器系に良いフードを与え、下痢・嘔吐を観察、毎日の記録などを付けています。
また、感染力が高いため、フル装備のPPE「個人用保護具」、これは、労働者を職場の危険有害要因から保護するための道具や服装のことで当シェルターでは、手袋、全身ガウンなどを身に着け、感染対策に対応しています。
ケージごとにPPEを変えなくてはいけないので、PPEの装着、脱着にも時間を要します。
予防法は?
何よりも大事なのがワクチン接種!
確実なのが3種混合ワクチンの接種です。
猫伝染性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3つの病気を予防するためのワクチン
ワクチン接種は、正しく以下のタイミングで推奨されています。
生後2か月 1回目
その3~4週間後 2回目
生後3か月以降 3回目
正猫には年に1回の摂取(または数年に1回)
猫パルボウイルスは防げる
ここで何より伝えたいのは、猫パルボウイルスは予防で防げるということです。
知っていたらワクチンを打っていた
早く気づいてあげれば対処できた
猫パルボウイルスはそういう病気です。
シェルターで働くなかで、救えない命もありました。
子猫は生存率がとても低いのです。
それでも、その中でも助かる命があるということです。
この記事をきっかけに、猫パルボウイルスへの知識と理解を深め、あなたがかかわる(かもしれない)猫たちの命が、1つでも多く救われ、助かることを願っています。
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