猫風邪とは、ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどの病原体に感染することで発症する上部気道感染症の総称を表して言います。人間が風邪をひいたときに出る症状にいているため、「猫風邪」と一般的には呼ばれていますが、「猫風邪」という病名があるわけではありません。
オーストラリアでもそのまま「Cat Flu」と総称してよばれ、正しい名称はupper respiratory infection (URI)となります。
猫風邪は、複数のウイルスや細菌によって引き起こされます。
特に免疫力の低い子猫が感染しやすく、保護猫の中には多くこの猫風邪もちの子が多いと言われています。病原体の主な原因は、猫ヘルペスウイルス(FHV-1)と猫カリシウイルス(FCV)が含まれています。
猫風邪の原因
猫風邪の原因には、ウイルス、細菌、クラミジアといった病原体感染症で、様々な原因がありますが、この中でも特に、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスの関与が大きいとされています。
猫風邪の症状
猫風邪の症状には、人間が風邪をひいたときに見せる症状と同じ症状が見られます。
くしゃみ
鼻水
涙目
目やに
発熱 (耳が非常に熱い時は発熱している可能性が高い)
食欲減退
口内炎(特にカリシウイルスの場合よく見られる)
猫風邪の感染経路
猫風邪は、猫風邪にかかったことのある、かかっている猫との接触による接触感染、猫風邪のくしゃみや咳、鼻水などによる飛沫によって感染する飛沫感染の2種類が主な感染経路となります。
猫風邪になったことがある猫でも、猫風邪の症状が出ていない場合、感染する確率は減りますが、必ずしも感染しないとは限りません。
猫風邪の原因となる菌やウイルスに対しワクチンを接種していても、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスに対すし感染や発症を確実に防ぐことは難しいとされています。ワクチン接種は、あくまで猫が猫風邪にかかった時に、重症化しないための防御策であると考えておくことが無難です。
シニア猫や持病を抱えている猫、さらには子猫時のワクチン接種を終えていない猫に感染すると、重症化してしまう可能性が高いため、更なる注意が必要となります。
猫風邪の治療
猫風邪の原因ウイルスに対する完全治療はないため、直接的な治療法として、全身的な抗ウイルス薬の投与が一般的となっています。アシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビルは有効性が報告されており、インターフェロン、L-リジンの投与は、一般の動物病院でもよく行われる治療となっています。
また、猫風邪のウイルスに対する直接対処ではなく、支持療法が大変重要となっています。症状がひどく出ている場合、鼻詰まりや口内炎で、十分な食事を取れないことがあります。症状が出ている猫がシニア猫であったり、とても幼い子猫である場合、積極的に栄養補給を行うことがとても重要となります。好みの食事を与えたり、大好きなおやつで食べ食べたいという意識を高める一押しが必要です。
それでもどうしても食欲が出ず、食事をとらない猫に対しては、鼻に管を設置して、経鼻カテーテル、または食道・胃に触接チューブをするチューブディーディングを検討する必要があります。水分をとらない猫に対しては、脱水を起こす可能性があるので、点滴などの対処も行われます。痰がひどい場合は、痰切り作用のあるブロムヘキシンを使用することもあります。
細菌感染により、悪化する恐れがあるため、抗菌薬も使用されます。
二次感染を防ぐために、また、治療の一環として、抗生物質が使用されることがあります。
猫風邪の予防法・まとめ
猫風邪の発症には、ストレスが深くかかわっていると言われています。普段から、猫にとってストレスフリーな生活を心がけることで、猫風邪にかかる・発症することを防ぐことから始めましょう。
また、定期的なワクチン接種により、猫風邪にかかったとしても、重症化を防ぐことが可能となっているため、特に多頭飼いのご家庭では、定期的なワクチン接種が進められています。
猫風邪の対処には、早期対応が一番です。猫が何度もくしゃみをしていたり、涙目であるようなら、一度かかりつけの獣医師へ相談してみましょう。
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